WordPressを選ぶのが不向きな組織と向いている組織
公開日: 2026/06/12カテゴリ: マーケティング著者: 服部 雄治朗
Webサイト制作を検討するとき、「自社で更新できるようにしたいのでWordPressにしたい」という相談を受けることがあります。
WordPressは、記事やお知らせを管理画面から更新できる便利なCMSです。ブログ、オウンドメディア、採用サイト、ニュース更新の多いコーポレートサイトでは、今でも有力な選択肢の一つです。
ただし、WordPressは「作って終わり」のWebサイトではありません。WordPress本体、テーマ、プラグイン、PHP、データベース、サーバー環境などを継続的に管理する必要があります。
結論から言うと、WordPressを選べるのは、公開後の保守体制がある組織です。 保守契約がない、WordPressに慣れた担当者がいない、本体やプラグインの更新責任者が決まっていない場合は、WordPressではなくSaaS型サービスや静的サイト構成を優先して検討した方が現実的です。
anytoolsではWordPressの保守を提供していないため、WordPressを前提としたWebサイト制作・開発も行っていません。代わりに、SaaS型サービスの活用や、静的サイトをPaaS・静的ホスティングで配信する構成など、公開後に無理なく運用できる形を提案しています。
目次
- WordPressを選ぶのが不向きな組織
- WordPressを選べる組織
- 記事更新とシステム保守を分けて考える
- WordPressが向かない組織は何を選ぶべきか
- 選択肢1:SaaS型サービスを使う
- 選択肢2:静的サイトをPaaSなどで配信する
- WordPress、SaaS、静的サイトの違い
- anytoolsではWordPress制作を行っていません
- まとめ
- 相談・更新情報・参考情報
WordPressを選ぶのが不向きな組織
WordPressが不向きなのは、記事更新をしたい組織ではありません。不向きなのは、WordPressの保守体制がない組織です。
たとえば、次のような場合はWordPressをおすすめしません。
| 状態 | なぜ不向きか |
|---|---|
| 保守契約がない | 本体、プラグイン、PHP、サーバー更新が放置されやすい |
| WordPressに慣れた担当者がいない | 更新してよいか、問題が出たときに戻せるか見極めにくい |
| 複数人が管理者権限で自由に触る | プラグイン追加や設定変更で不具合が起きやすい |
| 本体更新を誰が行うか決まっていない | 責任範囲が曖昧になり、保守が止まりやすい |
| ほとんど記事更新しない | CMSのメリットより保守負担が大きくなりやすい |
WordPressは、管理画面から記事を更新できる点では便利です。しかし、記事を書けることと、WordPressを安全に保守できることは別です。
管理画面に更新通知が出たとき、すぐ更新してよいのか。更新前にバックアップを取るべきか。プラグイン更新後にフォームや表示が崩れていないか。PHPのバージョンを上げても問題ないか。不具合が出たときに復旧できるか。
こうした確認を行う担当者がいない場合、WordPressは運用上のリスクになりやすいです。
WordPress公式ドキュメントでも、更新前のバックアップや、更新後にサイトが期待どおり動作するか確認することが案内されています。更新ボタンを押せることと、更新結果に責任を持てることは同じではありません。(WordPress.org)
WordPressを選べる組織
一方で、WordPressが向いている組織もあります。
条件は、WordPressの保守体制があることです。具体的には、WordPress保守を行う会社と契約している、または自社にWordPressに慣れた担当者がいる場合です。
そのうえで、次のような運用ができる組織にはWordPressが向いています。
| 状態 | なぜ向いているか |
|---|---|
| 保守担当者が明確に決まっている | 本体やプラグインの更新が継続されやすい |
| 定期的に更新・確認できる | 古い状態のまま放置されにくい |
| バックアップと復旧手順がある | 更新後の不具合に対応しやすい |
| 記事作成者と管理者を分けられる | 複数人で安全にコンテンツ運用しやすい |
| プラグイン追加のルールがある | 不要な機能追加やリスクを抑えやすい |
WordPressでは、記事作成を複数人で行うこと自体は問題ありません。むしろ、採用ブログ、広報記事、事例記事、オウンドメディアのように、複数人で記事を書く運用には向いています。
ただし、複数人がWordPress本体、プラグイン、テーマ、設定画面を自由に触る運用はおすすめできません。
記事を書く人は複数人いてもよい。しかし、本体やプラグインを更新する人は絞るべきです。
記事更新とシステム保守を分けて考える
WordPress運用では、「記事更新」と「システム保守」を分けて考えることが重要です。
記事更新は、本文を書く、画像を差し替える、お知らせを公開する、事例を追加する、といったコンテンツ作業です。一方で、システム保守は本体、テーマ、プラグイン、PHP、データベース、サーバー、バックアップ、復旧手順を管理する作業です。
この2つを同じ担当者が行う必要はありません。ただし、役割は分けておく必要があります。
| 役割 | 主な作業 |
|---|---|
| 記事作成者 | 記事、ニュース、事例、採用情報などを作成・更新する |
| 編集・承認者 | 公開前の内容確認、表記確認、公開可否の確認を行う |
| システム管理者 | 本体、プラグイン、テーマ、PHP、サーバー、バックアップを管理する |
WordPressにはユーザー権限の仕組みがあり、管理者、編集者、投稿者、寄稿者、購読者などのロールで担当できる操作範囲を分けられます。運用するなら、この権限設計も保守体制の一部として考えるべきです。(WordPress.org)
「自社で更新できるようにしたい」という要望がある場合でも、本当に必要なのは全員に管理者権限を渡すことではありません。必要な人が必要な範囲だけ更新でき、システム変更は管理者が確認して進める状態を作ることです。
WordPressが向かない組織は何を選ぶべきか
WordPressの保守体制を用意できない場合は、無理にWordPressを選ぶ必要はありません。
その場合、anytoolsでは主に次の2つを検討します。
1. SaaS型のWeb制作サービスやCMSを使う
2. 静的サイトをPaaSや静的ホスティングで配信するどちらも、WordPressのように自社でPHP、データベース、プラグイン、サーバー環境を継続的に管理する構成とは異なります。
重要なのは、CMS名から決めないことです。先に決めるべきなのは、公開後に誰が何を更新し、誰が何を保守するのかです。
選択肢1:SaaS型サービスを使う
WordPressが向かない組織にとって、もっとも分かりやすい選択肢はSaaS型サービスです。
たとえば、Studio、Wix、その他のWeb制作プラットフォームやCMSを利用する方法です。
SaaS型サービスでは、サーバー、セキュリティ対応、SSL、基盤のアップデートなどの多くをサービス提供者側が管理します。利用者はサービス利用料を支払い、管理画面からページや記事を更新します。
そのため、自社でWordPress本体、プラグイン、PHP、サーバー更新を管理する必要がありません。
SaaS型サービスは、次のような組織に向いています。
| 向いている組織 | 理由 |
|---|---|
| 技術的な保守を持ちたくない | プロバイダーが基盤を保守してくれる |
| 社内で簡単に更新したい | 管理画面から更新できるサービスが多い |
| サーバー管理をしたくない | インフラ管理を個別に抱えなくてよい |
| 小規模なコーポレートサイトを運用したい | 必要十分な機能を低い運用負荷で使いやすい |
ただし、SaaSには制約もあります。サービスごとの料金プラン、機能制限、デザインの自由度、データ移行のしやすさ、将来的な仕様変更の影響は確認しておく必要があります。
SaaSは、自由度を最大化する選択肢ではありません。保守負担を抑えながら、サービス提供者が用意した仕組みの中で安定して運用する選択肢です。
選択肢2:静的サイトをPaaSなどで配信する
もう一つの選択肢は、静的サイト構成です。
静的サイトとは、WebサイトをHTML、CSS、JavaScriptなどの静的ファイルとして生成し、それをPaaSや静的ホスティングサービスで配信する構成です。
たとえば、Next.js、Astro、Hugoなどで静的ファイルを生成し、Cloudflare Pages、Netlify、Vercelなどのプラットフォームで配信するような構成です。
この構成では、公開サイト側でWordPressのようなPHPやデータベースを常時動かす必要がありません。
そのため、WordPress本体、プラグイン、PHP、データベースの保守を持たずに済みます。また、サーバーの運用やセキュリティ対応の多くは、PaaSやホスティングプロバイダー側に任せられます。
静的サイト構成は、次のような組織に向いています。
| 向いている組織 | 理由 |
|---|---|
| 会社情報やサービス紹介が中心 | 動的CMSを常時動かす必要がない |
| 更新頻度が高すぎない | 更新時にビルド・デプロイする運用で対応しやすい |
| 独自デザインで作りたい | SaaSより自由な実装がしやすい |
| WordPress保守を避けたい | WP本体、プラグイン、PHP、DBの管理が不要になる |
| フォームなどは外部サービスで足りる | 必要な機能だけをSaaSで補える |
ただし、静的サイトも保守がゼロになるわけではありません。
ドメイン、DNS、フォーム、CMS、ビルド環境、利用しているライブラリなどは管理が必要です。それでも、WordPressのように公開サイト上でCMS本体、プラグイン、PHP、データベースを管理する構成より、保守対象を小さくしやすいのが特徴です。
WordPress、SaaS、静的サイトの違い
WordPress、SaaS型サービス、静的サイト構成は、それぞれ保守の考え方が異なります。
| 構成 | 保守の考え方 | 向いているケース |
|---|---|---|
| WordPress | 本体、プラグイン、PHP、サーバーなどを継続保守する必要がある | 保守会社または慣れた担当者がいる |
| SaaS型サービス | プロバイダーが基盤を保守し、利用者はサービス内で更新する | 技術保守を持ちたくない |
| 静的サイト + PaaS | 静的ファイルを配信し、サーバー保守はプロバイダーに任せる | 保守対象を小さくしつつ独自サイトを作りたい |
WordPressは、保守体制がある場合に選ぶCMSです。
保守体制がない場合は、SaaS型サービスや静的サイト構成を優先して検討する方が現実的です。
anytoolsではWordPress制作を行っていません
anytoolsでは、WordPressの保守を提供していません。
そのため、WordPressを前提とした新規制作や開発は行っていません。
これは、WordPressに価値がないと考えているからではありません。WordPressは保守とセットで提供されるべきCMSだと考えているからです。
WordPressサイトを制作するのであれば、公開後もWordPress本体、プラグイン、テーマ、PHP、サーバーを継続的に管理する必要があります。
anytoolsがその保守を行わないにもかかわらず、WordPressサイトだけを制作して納品することは、公開後の安全性や継続性に責任を持てない状態を作ってしまいます。
そのため、anytoolsではWordPress制作をお受けしていません。
代わりに、SaaS型サービスの活用や、静的サイトをPaaS・静的ホスティングで配信する構成など、公開後に無理なく運用できるWebサイト制作を提案しています。
まとめ
WordPressは、保守体制がある組織には向いています。
WordPress保守を行う会社と契約している
自社にWordPressに慣れた担当者がいる
本体、プラグイン、PHP、サーバーの更新を定期的に行える
記事作成者とシステム管理者を分けられるこのような組織であれば、WordPressは便利な選択肢になります。
一方で、保守契約がない、WordPressに慣れた担当者がいない、本体やプラグインの更新を誰が行うか決まっていない場合は、WordPressはおすすめできません。
WordPressが向かない場合は、SaaS型サービスや静的サイト構成を検討すべきです。SaaSであれば、プロバイダーが基盤を保守してくれます。静的サイトをPaaSなどで配信すれば、サーバー保守の多くをプロバイダーに任せられます。
Webサイト制作では、どのCMSを使うかよりも、公開後に誰が何を管理するのかが重要です。
anytoolsでは、公開後の保守負担や運用体制を踏まえた上で、無理なく続けられるWebサイトの形をご提案します。
相談・更新情報・参考情報
Webサイトの構成を相談する
WordPress、SaaS、静的サイトのどれを選ぶかは、公開後の更新頻度、社内担当者、保守体制、必要な機能によって変わります。anytoolsでは、WordPress保守を前提にしないWebサイト制作として、SaaS活用や静的サイト構成を含めた現実的な構成案を作ります。
情報の更新について
この記事は2026年6月12日時点で、WordPress.orgの公式ドキュメントを確認して作成しています。WordPress本体、プラグイン、テーマ、PHP、各SaaSやホスティングサービスの仕様は変わることがあるため、実務で使う場合は参照先の最新情報も確認してください。
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