ビジョンを伝える

2024/03/06 服部 雄治朗

ビジョンや行動規範をチームのメンバーに伝えても、それを理解して行動に移してもらうのはとても難しい。 いまだかつてうまく理念を伝え切ったことはない自分が、人にうまくつたえるための方法を考えた。

クレイジーな理念を持ち共感する人を集める

クレイジーな理念に共感する人は少ないが、共感する人との間で強い結束力を持つ。ドナルド・トランプはアメリカの大統領になるために、メキシコ国境に壁を作るというクレイジーな理念を持ち、それに共感する人たちを集めた。
吉田松陰は鎖国された日本の中で海外の脅威に目を向け、強力な日本を作るために尊王攘夷思想を持ち、それを共感する人々に伝えることで幕末に活躍する人物に影響を与えることになった。
オフィスを捨ててリモートで働き、会議も極力無くして、自由な働き方をするという理念は37signalsに多くの共感を持つ人を集めたし僕もファンになった。

クレイジーな理念を持つことで、共感する人たちを集めることは強い実行力を持つ組織を作ることにつながる。そのように集まった人々は経営者からの指示ではなく、自分が共感する理念を実行しようとするからだ。
その理念は、人々を集めるための見せかけのものではなく、本当に実行しようとするものである必要があるということに注意しないといけない。集まった人々は経営者が上部だけのメッセージを提唱しているだけだと感じた場合、失望し組織を離れてしまう。

理念を覚えさせる

素晴らしい理念を持っていても、それを覚えていないと実行することはできない。理念に共感する人を集めたら、それを何も見なくても言えるくらいに覚えさせることも重要になる。

思い出しやすい簡単な言葉で表現する

理念に込めた想いが複雑だったとしても、それを抽象化した簡単な言葉で表現することで、全ての理念を思い出すきっかけにすることができる。 メルカリであれば、 Go Bold, All for One, Be a Pro という言葉がそれにあたる。それぞれの言葉は短くて簡単なものだが、その背景の複雑な想いを思い出させるきっかけになっている。
「味ひとすじ」は、永谷園が他社が真似できない美味しい味を追求姿勢を一言で表現している。

何度も何度も繰り返し伝える

簡単な言葉で表現した後は、その言葉が何を意味しているのかを何度も何度も繰り返し伝えることが重要になる。
しかし、ホームページに書いた理念をそのまま繰り返し伝えるだけでは、覚えさせるのは難しい。退屈なのもあるが、全く同じ文章を聞いていると感じた人々はその意味をすでに理解していると思い込んでしまうという心理も問題になる。
理解するには、それを理解しているかどうかを繰り返し確認する作業が必要になるがその機会を失ってしまう。

では、どのような伝え方をするべきか。例えば、何か決定を行う際にその背景として理念があることを伝えることができる。
リモートワークを推進している会社であれば、オフィスを捨ててリモートでうまく協調作業を行うために自分たちは文章を書くことを重要視していると伝えることができる。
手段を伝えるだけではなく、背景を伝えることで、自分の記憶と新しい情報を結びつけて記憶を強化することができる。また、そこに疑問を持つ場合は確認する機会を与えて、さらに理解を深めることができる。

まとめ

書いてみたが、今はただの話の長いおじさんになっていると自覚している。目先のコミュニケーションだけではなく、大きな枠組みの中として理念を持つことでそれをどう伝えるべきかを考え実践に繋げたい。