システムの権限と上下関係

2024/03/10 荒井 雄治朗

去年独立し、生まれて初めて会社員ではなく業務委託という立場で仕事をするようになった。最近、自分が仕事を進めるときに許可を取ってから着手することが多くなったと感じる。 後から考えてみると、これくらいのことは許可なんか取らなくても勝手にやれと思うことも多いし、会社員の時はもう少し許可を取らずに進められていたように思う。

自分の仕事の姿勢は見直すとして、業務委託という立場が仕事の姿勢にどのように影響したのかを振り返り、自分の会社から誰かに仕事を依頼するときに役立てたい。

業務委託で仕事をするときは、普段使うツールに権限がかなり制限されている。SlackやTeamsのようなコミュニケーションツールはゲストとして参加し、AWSやAzureのようなクラウドサービスなどは必要最低限だったり必要な権限を申請して設定してもらうようなこともある。 機密情報にアクセスできないようにしたり、サービスとして稼働しているものを停止させる権限を与えないというのは理解できるが、結果的に何かをするときに許可を取らなければ先に進むことができないことが多い。 このような状況で、許可を取りながら作業を進めることにより業務委託の立場での仕事には許可が必要と無意識的に思い込んでしまったのではないかと感じる。 許可を取り承認するというやりとりは、そこに上下関係を生み出してしまい。この上下関係は自分の仕事に対して評価を受ける必要があるという意識を持ってしまい、自分の仕事に対して自分で責任を持つことが難しくなっていたのではないか。

チームのメンバーがどのように仕事をしてもらいたいかは言葉で伝えるだけではなく、システムの権限のような意図していない方法でも伝わってしまう。 間違えたメッセージを想定外の方法で伝わっていないかを常に意識したい。 例えば、社員以外にも業務委託の立場で仕事をする人が今後増えることを前提として考えたときに、どのようなツールの使用方法をすることで不要な制限をかけずに利用することができるのかをあらかじめ設計することができる。 他にも、AWSであれば壊しても問題ないAWSアカウントを作成し、そこで行なった作業をしてもらい本番環境にはterraformで適用するような方法もある。

システムの権限設定をただのツールの使い方を決めるだけと考えず、会社の文化への影響も考慮して設計したいと思う。